データサイエンスを駆使、診療現場の課題解決へ

情報を科学する。数学、統計学、コンピュータプログラム/アルゴリズムを横断的に用いて構造化・非構造化データから有益な知見を得る、「データサイエンス」という分野はデータマイニングやビッグデータだけでなく、機械学習・AI(人工知能)との関係で語られることも多い。

日本において、国内の高齢者人口の増加に伴い医療や介護の需要が増していく中で、AIを含む様々なテクノロジ活用によって患者へのサービスレベルの向上と医療・介護従事者へのサポートを両立させていくことへのニーズが高まっている。特に、医療現場とテクノロジ企業との相互理解に基づくイノベーション創出の活動は、近年増加しているという。

エクサウィザーズ山口大学は15日、データサイエンスの技術を用いて診療現場の課題解決を図る、医療AI活用のための包括的な共創事業を開始した。AISMECを核として基礎医学研究力・医療技術の向上と人材確保に努めている同大学が持つ医療現場とアカデミアの専門性、および同社が持つAI開発企業の技術力と事業開発力を活用し、医療現場のニーズを抽出・発掘することで、新たなAIシステム実装に取り組む。

共創事業ではまず、「フレイル予防に向けたパーソナルヘルスレコード(PHR)とAI解析の融合による行動変容ツール開発」「受精卵タイムラプス画像のAI解析による良好胚の選別」「CT画像などのAI解析に基づく虐待が疑われる児童の医学的判別支援システム構築」の3テーマをはじめ、ワークショップなどを定期的に開催する。各診療科でのテクノロジ活用ニーズも今後さらに発掘・追加していくという。

MedTech事業も展開している同社の動画像や音声、テキスト等の非構造化データを用いたAI開発力およびソフトウェア開発力を組み合わせることで、研究開発にとどまらない医療現場での実用化を前提に、AIを利活用した新たなイノベーションとビジネス創出をめざす考えだ。