『選択の科学』という本がある。それはコロンビア大学ビジネススクール教授のシーナ・アイエンガー氏による講義をまとめたものであり、氏は、24種類のジャムを売る棚が6種類のそれの1／10の販売量だった実験結果をもとに、人間は選択肢が多すぎると選択できなくなるという。
ならば数百の類似商品からたった一つ、色や形や質感などすべてが完全に自分好みで、イメージした利用場面にも最適なのものを選ぶことは銀河の果ての星をめざすような話となる――。今月7日、エクサウィザーズは、シチズンと共同開発した「AIウオッチレコメンド」サービスを開始した。同サービスは、「ピッタリの腕時計が見つかる」オンライン接客をコンセプトにしている。
専用サイトにてファッションやライフスタイル、価値観、興味関心といった好みに関する質問に回答すると、その結果を基に人工知能がファッションタイプや好みを分析し、シチズン製品約700種類の中から、あなたに適した腕時計を数モデルあげてくれる。既に腕時計を愛用している人、時計をする機会がなかった人や時計への興味が薄かった人も、これにより、身近なものごとをきっかけに腕時計と触れ合うことができる。
なぜこの商品を薦めるのか、理由に加えてユーザーに合わせた提案も盛り込む。より満足度の高いサービスを目指したという。エクサウィザーズが開発したAIモデルは、時計のデザイン・志向の特徴とユーザーの志向を点数化しマッチングすることで、ユーザーの好みに合わせた時計を提案。ユーザーの利用データをベースに継続学習していくことで、マッチング精度が一層向上し、クオリティの高いレコメンドを実現する。
同社は、ユーザーが自分の欲しい時計を「AIウオッチレコメンド」サービスで探し、百貨店・家電量販店・時計専門店やオンラインストアなど取扱店の紹介や、シチズン公式オンラインストアでの購入を可能とするサービスの開発も考えている。