AI画像診断支援、COVID-19と闘うインドの病院から各国へ

X線やCT画像を用いて診断を行う、放射線科医が不足している。そのためAI(人工知能)活用の研究開発や実証実験が進んでいる。世界では今、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による肺炎の診断で、補助的にCT等の医療画像が利用されている。

従来、世界各地の病院で実証実験を行ってきたという。NTTデータと同社のインドにおけるパートナー企業DeepTekは5月25日、Ruby Hall Clinicで、AI搭載型の画像診断支援ソリューションをCOVID-19診断の支援に活用する活動を開始した。既存技術を拡張したという同ソリューションは、患者の医療画像をAI技術で解析し医師の診断を支援するとともに、優先順位決めなどの管理業務を効率化する。

肺のさまざまな疾患を検知するアルゴリズムをベースに、COVID-19患者の医療画像を用いて、新たにAI画像診断アルゴリズムを開発した。これにより、診断対象の医療画像において、健康な状態と比較した際に異常の可能性がある箇所を明示する。放射線科医の診断業務を効率化し、医師の診断を支援する。

X線やCT画像上にAIが識別した箇所を黄色や白で強調表示し、識別した内容を解説したテキストを別途出力する。さらに、患者リストにおけるアラートなど医師の診断業務にまつわるワークフロー全体をサポートすることで、COVID-19罹患状況に関する医師の判断を統合的に支援することが見込まれるという。

両社は今後このサービスをアジア太平洋地域に拡大提供する。日本への展開も検討していて、各国の医療機関における医療体制の強化、医師の負担軽減、病院の診断プロセス改善を提案していく。学習用データ(医療画像)を増強しAIの判断精度を高めるにあたり、より多くの医療機関と協力体制を構築できるよう、コンソーシアムや共用プラットフォームなど大規模活用を想定したインフラ化の検討も進めていく構えだ。