マスクをしていても高い精度で顔認証、ウォークスルー型システムにて

防犯や見守り等のセキュリティー対策、マーケティングツール、本人確認や決済手段など、安全性と利便性を両立する技術として活用の場が広がっている。顔認証のしくみは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策として着用するマスクや、サングラス姿に弱い。

スーパーマーケット、ドラッグストア、病院、介護施設、書店、パチンコ店など約1000カ所で採用されているシステムの、これまでの顔認証エンジンは、マスクやサングラスの着用により顔の一部が隠れたり、事前登録データが斜め顔だったり、逆行や暗所といった条件・環境によって、認証精度にばらつきが出るなどの課題があったという。グローリーは、マスクを外さなくても高い精度で本人認証ができる新顔認証エンジンを開発した。

従来のアルゴリズムにディープラーニング(深層学習)の手法を加え、目元やこめかみ、おでこ、鼻筋などマスクやサングラスを着用しても隠れない部分の本人特徴をより正確に捉えることで、厳しい認証環境における認証精度を従来比で10倍以上向上させた。新エンジンは、同社が'19年度より参画したギャンブル依存症患者検知の市場実験において、マスク着用者が多数の状況でもその有効性が実証された。

新顔認証エンジンについて、同社はこれを9年ぶりに刷新するウォークスルー型顔認証システムに搭載し、今年6月より販売する。同システムは、最大1000店舗の顔情報などを一元管理。他店舗で登録した情報もリアルタイムに共有でき、防犯対策やVIP顧客のサービス向上に貢献する。一元管理による厳正化と安全性は、昨年7月より実施の「渋谷書店万引対策共同プロジェクト」にて確認されているという。

既存業務システムとのAPI連携が可能で、運用画面構成の変更も容易である。新たな仕組みは、入館管理システムやパートナー企業向け「顔認証SDK」にも適用し、順次今年度中に販売していく予定とのことだ。