国内クラウド基盤サービス市場は堅調に拡大し、1兆円規模へ

IT(情報技術)を所有するものから利用するものへと変えた。クラウドは2種類ある。ITリソースを外部組織等とも共用するパブリック型と、専用のプライベート型――ではなく、業務に直結するソフトウェアサービスと、それを支えるITインフラ/プラットフォームとが。

今月12日、矢野経済研究所は、国内のクラウド基盤(IaaS/PaaS)サービス市場を調査した結果をもとに、その市場規模の推移と予測、クラウドベンダ動向、新サービス普及状況等を明らかにした。既存情報システムのクラウド移行が引き続き牽引する形で市場は堅調に推移。'19年の国内IaaS/PaaS市場(事業者売上高ベース)を前年比134.5%の7,800億円と推計した。

パブリック型とプライベート型を併用する「ハイブリッドクラウド」はすでに一般化した。プラットフォームを適材適所に使い分け、またリスクを分散させる目的などから、同年はコンテナやマイクロサービスへの需要が拡大し、IaaS/PaaSのマルチクラウド化が進展を始めた。このトレンドは今後も続く見込みだ。そして金融業におけるクラウドサービス基盤利用が拡大し、勘定系システムの基盤にパブリッククラウドを採用する事例も増えつつあるという。

'20年は「クラウド・バイ・デフォルト原則」(政府CIOポータルPDF資料)を背景に、公共分野におけるIaaS/PaaS利用の拡大が期待できる。また、今後はデジタルトランスフォーメーションの実現を目的としたサービスの活用や、IoT、AI、5Gなどの普及が進み、大量のデータ管理やその分析が必要になると考える。海外でクラウド内のデータが漏えいする事故があったことなどを受け、クラウド内のデータ管理に注目が集まった。

日本国内の同市場は年平均25.4%で成長し、'23年には1兆6,700億円(新型コロナの影響考慮せず)に達するだろうという。詳細は同社レポートにて。