情報通信
再注目の磁気テープストレージ、高速アクセス実現へ
昔の映画でコンピュータの象徴として磁気テープ装置がよく使われていた。動作中だとわかりやすいそれは実際、企業・団体の情報処理システムにおける外部記憶装置(ストレージ)として主にデータ保護用途で活躍し、ロボットを内蔵した巨大ライブラリにまで進化した。
しくみの大小を問わず、磁気テープストレージは順次アクセス方式に最適で、ランダムアクセスが得意な磁気ディスクや半導体メモリに格納されたデータをバックアップ(複写)、そして原本データの破損・紛失時にデータ一式をまとめてリストア(復元)するのに使われていた。原本データ自体を半永久的もしくは長期保管するアーカイブや、災害対策用途でも磁気テープは重宝し、媒体の大容量化も進んでいた。
ストレージというと近年ではフラッシュメモリを用いたものが存在感を増している。高額投資しつつ高速性を追求する一方で、企業においてはデジタルトランスフォーメーション(DX)の進展により、様々な現場で発生する大量データの利活用が本格化――さらなるデータ増加が見込まれる中、大量データの効率的なアーカイブ需要に対応するためのストレージとして、低コストで大容量な磁気テープストレージが再注目されているという。
富士通研究所は今月3日、磁気テープストレージのアクセス高速化技術を開発したと発表。LTFS(リニアテープファイルシステム:HDDやUSBメモリ等のデータと同様にファイル単位で扱える)の機能を拡張し、複数のテープカートリッジを仮想統合するファイルシステムを新たに開発し、テープ特性に合わせたデータ管理やアクセス順序制御により、テープからのランダム読み出し性能を向上。従来方式よりも4.1倍の高速化を実現した。
磁気テープストレージの活用を促進し、性能コスト比に優れたデータアーカイブ基盤を実現していくことで企業のDXを支援するという。技術の詳細は「DEIM2020」にて発表される。