高速道路の事故多発地点で音声による注意喚起、まずはICランプから

R=42から44へと変化する。東名高速道路を下ってゆくための横浜町田インターチェンジ(IC)オンランプは交通量が多い。直径42~44メートルの急カーブを、まだ本線でもないのに飛ばしていると遠心力により外に膨らんだり、戻そうとして内側に切れ込んでしまったり、車両を制御できなくなる。

そこでは速度超過により曲がりきれない事故が多発していて、これまで、舗装や標識による速度抑制対策や、視線誘導灯によりドライバーの視線を誘導し壁面への衝突を防止する対策などをおこなってきた――が、依然として事故があとを絶たない状況で、そのような事故が起こるたびに通行止めなどの交通規制により、多くの客に迷惑を掛けてしまっていたという。

NEXCO中日本は、交通事故防止に向けた取り組みとして、屋外の指向性スピーカーからの『音声』により注意喚起するシステムを開発。横浜町田IC(下り)オンランプにおいて、カーブの手前に設置した6基の指向性スピーカーから、「この先、急カーブ」とドライバーに聞こえるようにした。注意喚起の音声が流れる時間帯は8~18時で、車両速度が30km/h以下の場合にはそれを停止しているという。

音声による注意喚起システムは従来、音の拡散が少ないトンネル内で一定の効果が確認されていたが、その他の場所では周辺への音の拡散が課題となっていた。そのため今回、早稲田大学の山崎芳男名誉教授と共同で、狙った範囲のみに音が届く新たな指向性スピーカーの実現に成功し、防水・防塵対策を施してトンネル以外でも活用できるようにした。

高速道路では初の取り組みとなる。新開発システムの運用を昨年8月から試行して前後の速度変化を分析した結果、車両速度が4%(1.7km/h)低下し、事故は発生していないという。同社は、高速道路の事故多発地点や渋滞頻発箇所、長期間の工事規制区間の手前などでの注意喚起策としてこれを設置していく考えだ。