トンネル切羽の地質をクラウドAIで評価、データを一元管理

岩石の落下等(肌落ち)による労働災害が度々発生している。トンネル工事における掘削の最先端(切羽)では、地質に応じた施工のために、その観察および評価がベテラン技術者の目視で実施されている。

切羽における肌落ち災害を防止するために厚生労働省はガイドラインを周知し、これに基づく取り組みの普及を図っている。施工会社においてはICT(情報通信技術)の活用も検討されているが、未だその全面適用には至っていない――。現場では熟練技術者による切羽の目視確認が行われているほか、切羽観察簿は紙で作成・保管されていて、ノウハウの伝承にも時間がかかる状況だという。

sMedioは、AI(人工知能)が地質評価を支援し、クラウドでデータ管理が行えるサブスクリプション型「切羽AI評価システムサービス」を4月1日より提供する。同社が作成したAI学習モデルは、切羽観察のノウハウを学んだAIが熟練技術者と同等の地質評価を行うことを目標にしている。サービス利用者は、同モデルを組み込んだiPadアプリでの切羽観察、クラウドによる切羽観察データの一元管理と切羽観察簿の出力が行える。

今回のサービスは、レンタルiPad(カバー付き) 、ソフトウェア、クラウドシステムで構成されていて、iPadで撮影した切羽写真からAI判定する学習モデル、同モデルを活用するためのアプリ(判定結果閲覧、スコア入力、クラウドへのアップロード)を備え、クラウドにアップロードされたスコアの編集と切羽観察簿のエクスポートが行える。観察簿は複数のフォーマットに対応。オプションとして、詳細分析データの提供、および工事終了後のスコア・AI判定結果・写真データの保管/閲覧サービスが用意されている。

AI学習モデルはこのサービスを利用する各社の岩石データを共有して学習させるため、個別で行うよりも豊富なデータが使える。学習モデルの更新は定期的におこなわれるという。