スマート農業の普及へ、経験豊かな産学で包括連携

農業者の高齢化や担い手不足、耕作放棄地の増加といった課題を抱えている。わが国の農業を取り巻く環境は、'18年12月のTPP11協定発効に伴う農産物関税化・関税引き下げなどもあり、年々厳しい状況となっている。

そのような状況のなか、政府は農業の生産力を高め、国際競争力の強化を緊急の課題とし、生産性の飛躍的な向上や収益力向上を実現するため、同年6月に閣議決定した「未来投資戦略2018」(官邸PDF)に基づき、農水省を軸に「スマート農業」の推進を図っている。ロボット技術やICT(情報通信技術)を活用して超省力・高品質生産を実現する、新しい農業であっても、それを実践するのは農家・農業者である。

ゆえにその実現には企業や一部の大規模農業法人だけでなく、家族らを中心とした営農地域、農村コミュニティーへの普及が不可欠だという。実学主義を掲げる東京農業大学ならびに東京情報大学と、GIS(地理情報システム)/GIT(空間情報技術)の活用およびICT/リモートセンシングによる生育状況把握などで現場に寄り添う支援をしているパスコの3者は、昨年末にそれまでの人的交流を踏まえて、包括連携協定を締結した。

「地域の中核である農村コミュニティーでのスマート農業実現に向けて、農家・農業者の各種空間情報の利活用に対する現状確認と課題整理」、「農業現場へのスマート農業普及のための研修会の実施」、「農業現場での新たなGIT活用モデルの検討」、「技術や知見を使いこなせる人材の育成」に加え、林業・漁業を含めての新たな空間情報活用モデルの検討や、多様な空間情報の利活用に関する可能性の検討を予定している。

海外先進事例等の調査も行うという。3者は、日本の農業の発展を目指し、相互に協力して情報交換を行い農業現場への「スマート農業」普及のための施策立案や、一次産業全体での新たなGIT活用の可能性を追求していく構えだ。