ハイパースペクトルイメージングにて製造ラインの物の測定も可能に

IoTやAIなどIT(情報技術)による革新が進む。産業界は昨今、顧客ニーズにあった製品の短期開発・出荷が可能になりつつある一方で、高い品質の要求や生産現場の人手不足に対応するために、工場の自動化(FA)や作業の効率化などが必要とされている。

製造ラインにおいて製品検査に高い技術が要求される、対象物が繊細かつ緻密である、食品加工や半導体製造では、出荷検査の工程に課題を多く抱えているという。キヤノンITSは、ドイツのIT企業LuxFluxと販売代理店契約を締結。数十以上の波長から分光イメージングデータを取得・解析する技術が搭載された、統合ハイパースペクトル画像処理ソフトウェア(LUXFLUX.SOFTWARE SUITE)の提供を12月上旬に開始する。

機械学習(AI)による解析・測定モデル開発ができ、製造ラインにおいて対象物の可視化、分類、測定が可能となる。同ソフトウェアは、ハイパースペクトルイメージング(HSI)技術を中核にしたデータ処理用の汎産業向け製品であり、従来は対象物の「分類」を軸に使われていたHSIについて、用途を「測定」にも広げた。薄膜の厚さや、薬や食品など対象物の成分量を測定可能とする。

今まで難しいとされていた半導体やフィルム・素材、FPDなどの製品検査で活用できる。ハイパースペクトル画像処理ソフトウェアは、これまで研究開発が中心であった日本でも急成長(富士経済レポート参照)が期待される産業向けハイパースペクトルカメラ市場において、同カメラから出力される膨大な情報を処理する汎用ソフトウェアとして、今後需要の高まりが予想されるという。

キヤノンITSは、順調に成長を続けるマシンビジョンシステム市場向けの製品ラインアップを強化。LuxFlux製品による「可視化」「分類」「測定」に活用できるハイパースペクトルデータの産業利用・AI化の画像処理市場を創出していく構えだ。