社会インフラ、水道事業にブロックチェーンを活用

日本国内において、これまで水道事業を運営してきた自治体は、浄水場などの施設を所有したまま、その運営を民間事業者に委ねることが可能となった。

令和元年施行の改正水道法(省令:厚労省Web)に伴い、民間企業による自由度の高い運営が可能となることで、利用者ニーズを反映した多様なサービス提供が期待されている。一方で、運営を適切に行われなければ水質を悪化させてしまう、危険と隣り合わせの企業は、インフラ事業者としての透明性確保と、サービスの安全性に対する説明責任が強く求められ、様々な関係者がいる中で責任の所在を明確にする必要があるという。

A.L.I.三菱電機は、水道事業における協業に向けたブロックチェーン(分散台帳)技術活用の実証実験を開始した。問題発生時に水道サービスの運営が適切であったかを事後的に立証できる仕組みとして、暗号資産等の基盤技術で改ざんが極めて困難なブロックチェーンを応用する。決められた時間毎の運営の適正性を証明するために必要なデータ群(水質やオペレーションデータ)を特殊な形式でパブリックブロックチェーンへ記録する。

将来、そのデータが必要になった際に、該当時間のデータと当時ブロックチェーンに記録したデータとが合致していることで、その真正性が証明できる。今回の仕組みは、ブロックチェーンの耐改ざん性を活用した新しいデータ証明スキームだという。既に水道事業者への運営システム納入を手掛けている三菱電機のソリューションに、A.L.I.のもつブロックチェーンの知見と技術を組み合わせた。

民間企業単独では実現が難しい、非改ざん証明能力の高いデータプラットフォームにより、来る水道事業民営化に向けたインフラの安全性担保を実証する。事業運営の効率化に加え、水道事業全体の環境負荷低減にも貢献するという。両社は今後さらなる連携強化を図り、ブロックチェーン分野の可能性に、共に挑戦していく考えだ。