ソフトウェアの潜在バグをAIが検知、修正案をオートで推奨

IT(情報技術)を活用して人々の暮らしをより良くするデジタルトランスフォーメーション(DX)や、ITと実業のしくみを融合させた○○テックが普及しつつある。近年、競争力アップをめざす金融業界においても、DX対応およびFinTech、最新のデジタルサービスの迅速な提供が求められている。

一方で、金融サービスには特に高い信頼性が要求される。そのため、各種デジタルサービスの肝となるソフトウェアの品質を短時間で高められる手法の開発が課題になっているという。SMBCグループ日本総研および富士通は、AI(人工知能)を活用しソフトウェアの修正案を自動推奨する技術について、共同で実証実験をおこない、その有効性が確認できたと10月24日発表した。

様々なソフトウェア開発履歴データのバグ修正パターンをAIが学習する。同技術は、静的解析ツールによって検出されたソフトウェア中の潜在バグに対応する修正案を、そのAIを活用して自動的に生成し、ソフトウェア開発者へ推奨するものであり、今回、日本総研が開発している三井住友銀行の金融取引システムのソフトウェアにこれを適用して評価した。結果、検出された潜在バグの半数以上に対して適切な修正案を推奨することができた。

対象ソフトウェア中の潜在バグの52.7%について修正案を出力でき、それらのうち95.3%は妥当であることが確認できた。これらの修正案を活用すると、潜在バグの修正時間が手作業での修正に比べて最大約30%削減可能となったことから、ソフトウェア開発および保守の短時間化への貢献が期待できるという。

SMBCグループと日本総研は、ソフトウェア開発の効率化および品質向上のために、同技術の本格導入を検討していく。富士通は、上記実験結果に基づきこの技術で分析できる潜在バグの抽出数を増やし、精度改善を行うとともに、'20年度中に開発支援サービスとして提供する構えだ。