「まちを見守る自販機の展開、どぶ板通り商店街から始まる」

多くの訪日客が驚嘆する。街角の自動販売機の群れや、裏通りにぽつんとあるそれを見て、破壊されていない――自国であんなふうに無防備なら一晩で破壊され、現金も商品も奪われているだろうと、G7をもリードする大国の紳士は言っていた。

日本に犯罪がないわけではないし、犯罪は自販機に向けられたことに限らない。まちには昨今、防犯カメラが多数配置されている。が、防犯カメラは機器選定や設置手配など事前の段取りと手続きが煩雑であり、設置後も、メンテナンスや非常時に警察へ情報提供するための映像管理が手間だと、設備機器オーナーたちはいう。

8月30日、NECは、アサヒ飲料とともに、地域の防犯・安全に貢献するため、防犯カメラの設置を検討している自治体や小売り、デベロッパー向けにクラウド型カメラ付自動販売機を共同開発したと発表――。アサヒ飲料はこれを"まちを見守る自販機"として展開する、端緒として9月2日、神奈川県横須賀市のどぶ板通り商店街に同自販機を1台設置する。

"まちを見守る自販機"のオーナーは、従来の防犯カメラの設置等にかかる手続きや映像管理が不要となる。NECの「映像クラウドサービス」を活用したこの自販機は、通常の自動販売機に小型カメラを搭載し、付属の通信機器により映像をクラウド上へ自動的に保管できる仕組みを採用している。その設置にあたっては、上部および正面にカメラ付自動販売機であることが分かる告知ボードを置くという。

アサヒ飲料は"まちを見守る自販機"の2020年60台設置を目指し、地域の防犯・安全に貢献することで、自動販売機の価値向上に取り組む。一方、中期経営計画でセーフティ事業をグローバルな成長エンジンに位置づけているNECは、今回の取り組みを「NEC Safer Cities」実現に向けたソリューションやサービスの開発を加速・強化するものであり、安全・安心な街づくりに役立てるとした。