クラウドとAIとIoT、排水処理施設のダーボブロアを遠隔監視

われわれの暮らしや産業をそれらが支えてくれている。下水処理・工場排水処理における曝気(ばっき)は、空気と排水とを接触させて酸素を供給することであり、水質を浄化する微生物に酸素を供給する基本的な方法(広辞苑より)である。

曝気で用いる装置を「ターボブロア」と呼ぶ。設備の管理業務は、日常的な作業や各種帳票作成などの負荷が大きいうえに、人手不足への対応や属人化している業務ノウハウの伝承に課題があった。機器にトラブルが発生した際、保守サービス員が現地に駆け付けて原因究明に当たるため、その問題解消までに時間を要していたともいう。

ソフトバンク新明和工業は、国内初となるMicrosoft Azureを活用したAI(人工知能)とIoTによる遠隔監視保全システムを開発。新明和が新たに販売する排水処理設備に使用されるターボブロワの遠隔監視サービスとして、これを9月1日に提供開始する。システムの導入によって、運転データや各種情報を数値化し、機器トラブル発生時の初動対応の迅速化や故障原因の早期特定が可能となる。

設備のダウンタイムを極小化でき、管理業務や帳票作成業務の自動化、管理ノウハウの可視化が叶う。今回のしくみは、ターボブロワ遠隔監視システムが周期的に計測しているブロワの運転データ/各種パラメーター値を、独自開発したアルゴリズムによって、ソフトバンクの移動体通信網を介してセキュアにAzureへアップロードし、遠隔地からでもリアルタイムに同装置の稼働状況を把握可能にするものだ。

IoT技術によるターボブロワの遠隔監視と、AIによる運転データの分析を行うことで予防保全を実現するなど、業務プロセスに最適なデジタルトランスフォーメーションを推進して、工場や施設におけるターボブロワの安定稼働、管理者の負荷低減および運営管理コストの削減に寄与するという。両社は、同システムのさらなる価値向上も目指している。