AIにて顧客の資金ニーズを予測、渉外活動の効率・効果アップへ

近ごろ金融機関は資金利益(=貸付等の収益ー預金等の調達費用)の底上げを図るとともに、非資金利益の新たな獲得方法を模索している。信用金庫においては、その強みの1つである地域に根ざした「Face To Face」の渉外業務の強化が求められている。

そんな中で作成する訪問リスト(渉外員が1日の訪問計画を立てる際につくるもの)は渉外員のスキルに依存していることが多い。従来の渉外業務では、顧客へ一律にアプローチできていなかったり、ニーズを汲み取ったタイムリーな提案ができていなかったり、課題があったという。NTTデータNTTデータ数理システムは12日、信用金庫の業務ノウハウをもとに構築したAI分析モデルの実証実験が完了したと発表した。

昨年6月から8ヶ月間、大阪シティ信用金庫とともに、同モデルを用いて顧客資金ニーズの予測を実施。融資実績との比較でその精度を評価した。資金ニーズ予測リストを渉外活動に適用した場合の収益効果や業務効率化の試算、その他効果の検証を行った。結果、特に潜在顧客に対する見込み予測精度が、従来の営業実績と比べて約3倍向上――。その有効性が確認できたため、今後商用化に向けた検討を開始する。

金庫LANと、FISC安全対策基準準拠のクラウドセンターとを専用線で繋いで提供する。信用金庫向け顧客資金ニーズ予測サービスは、渉外活動時に必要となる訪問リストの作成を支援する。信用金庫が持つ各種データをAIが学習することで、資金ニーズが見込まれる取引先をAIが予測しリスト化する。同サービスの利用により、渉外員は効率的な顧客訪問が可能になり、能動的な提案活動による収益向上への寄与も期待できるという。

最適予測に必要なデータ、アルゴリズム、分析手法をパッケージ化した。同サービスについて両社は、まず法人の資金ニーズ予測を提供し、個人向けローン商品等のニーズ予測をメニューに順次追加していく計画だ。