インフラ施行・点検・維持管理を一括支援する、しくみを共同開発

社会資本ストックの多くは高度成長期に整備された。道路橋、トンネル、河川、下水道、港湾などは、今後20年で建設後50年以上経過する施設の割合が加速度的に高くなる。それに、少子高齢化といった社会的課題による人手不足や、技術継承の途絶が追い打ちをかける。

今日、社会資本の老朽化の現状と将来、インフラの維持管理情報などを専用ポータルサイトに公開している。国土交通省は、生産性向上の観点からICT(情報通信技術)化や3Dデータの利活用を推進している。インフラ点検では近年、ドローンやレーザー計測器の利用が進んでいるもの、橋梁のような狭く複雑な構造物内部では、これらの機材だけで劣化や損傷を判断できる高精細画像を取得することは困難である。

また、3D形状計測・生成エンジンは、主に海外企業のクラウドサービスで提供されていて、点検・維持管理機能の不足や3D成果品納品への未対応などがある。それらは、インフラ点検における3Dデータ導入を進める日本国内の点検事業者が利用するには不十分だという。イクシス凸版印刷は今月8日、「社会・産業インフラ向け三次元形状計測・生成・解析プラットフォーム」の共同開発('20年度中に提供開始)で協業すると発表した。

イクシス提供のインフラ点検ロボット及びAIを活用した取得データ解析サービスと、凸版印刷提供のデジタルカメラで撮影した画像から高精度な三次元形状モデルを自動生成できるエンジンとを連携――。橋梁・道路・電力・鉄鋼・プラント等といった社会・産業インフラの施工から点検・維持管理までの生産性向上を目的として、「ワンストップでの支援」および「国産プラットフォームの構築」を兼ね備えたしくみの実現を目指すという。

両社は同プラットフォームについて、「第11回インフラ検査・維持管理展」での紹介と、インフラ点検に携わる各領域の企業との協業による機能追加検討や実証実験なども予定している。