EVをワイヤレス充電する、漏洩磁界低減シート型コイル

すべての生物及び地球のための「持続可能な開発目標(SDGs)」が17個、国連のWebサイトに掲げられている。今日、中国やフランスやドイツが化石燃料を動力源とする車の保有や販売を将来禁止ないし制限と発表するなど、先進各国において電気自動車(EV)への関心が高まっている。

世界的に非接触型の充電技術が注目されている。ケーブル不要のそれは充電作業を簡便にし、自動運転との親和性も高く、早期普及が期待されているという。DNPは、薄型・軽量、かつ漏洩磁界が低減され大電力伝送にも対応可能な、EV向けワイヤレス充電用シート型コイルを開発した。

同社においては、長年培ってきたフォトリソグラフィ(感光材に光や電子線を照射して露光/未露光部からなるパターンを形成する)技術を活用して、これまでワイヤレス充電システムのコア部材であるコイルを開発――。今回新たに開発したシート型コイルは、コイルシートとフェライトシートで構成され、送電(給電)側と受電側の両方のワイヤレス充電システムに対応している。

フェライトシートを含めたコイルは、厚さが最大で約3mm、重量は約1kg(SAE Internationalが規定するJ2954 WPT2/Z2対応の受電コイルの場合)、一般的なリッツ線を用いた同仕様のフェライトを含めたコイルの厚さ約12mm、重量約4kg~(同社調べ)と比べ、大幅な軽量・薄型化を実現しているという。

コイルパターンの最適化と高精細フォトリソグラフィ技術の応用により、コイルの外側に磁界が出にくい構造として、充電時に人体やペースメーカーなどの機器に影響を及ぼす漏洩磁界を低減し、大電力の伝送を可能にしている。シート型コイルを「人とくるまのテクノロジー展2019 横浜」で披露する同社は、国内外の自動車メーカーや駐車場などのインフラ業界に同製品を提供、走行中充電やドローンなど多用途への展開もめざしていく構えだ。