グローバルIoTネットワークで物流用パレットの位置管理手法を確立

ロジスティックスがビジネスの勝敗を左右する。ネットビジネスの隆盛や業務のデジタル変革などともあいまって、近年それは一層濃密かつ迅速なサプライチェーン等を実現するしくみとして、人手不足課題を抱える倉庫及び輸送現場へのさらなる改善圧力となっている。

荷役・輸送・保管を行うための荷役台「物流用パレット」は、'17年度に約6,900万枚が生産(日本パレット協会推計値)されていて、国内に数億枚が流通している。一方で、詳細な位置などを把握する機能のないパレットは、追跡・回収できないことが多く、毎年相当数が物流過程で紛失――紛失したパレットの費用を荷主が都度補填していて、物流コストの増加につながっているという。

ホシデンKCCSは、グローバルIoTネットワーク「Sigfox」を活用した物流用パレットの位置管理の実証実験を4月1日~今月末まで行っている。国内唯一の通信事業者として人口カバー率95%を誇るSigfoxネットワークは、IoTに特化して開発・普及が進んでいるLPWAネットワークのひとつで、低価格・低消費電力・長距離伝送を実現している。

パレットの位置情報追跡サービスについては従来、一部サービス化されているものがあっても、パレットの価格と導入・運用コストが折り合わなかったり、パレット使用途中に通信デバイスの電池交換が困難であったりするため、ほとんど普及していない。そのため、今回両社は、「通信料金が低価格」「電池交換不要でデバイスの長期稼働が可能」「利用者によるネットワーク構築が不要」といった特長を実証していく。

オムロン住倉ロジスティック(OSLC)の協力を受け、OSLCが管理する物流用パレットにSigfoxモジュールを搭載した通信デバイスを装着し、1時間ごとにパレットの位置情報を取得し管理する。両社は今般の実験により、パレットの位置管理手法を確立させ、パレットの紛失防止を目指すという。