国内最速マシンとクラウドでコラボ、深層学習AIを開発する

人の頭脳と神経回路網を模して設計されたAI(人工知能)、そのなかでもディープラーニング(深層学習)はプロ棋士に勝利して以来、さらなる研究開発と、産業及び医療分野での活用が世界中で盛んになっている。

日本では昨年8月、産学官共同のAI研究開発を加速するため、産業技術総合研究所が、世界最大規模の人工知能処理向け計算インフラストラクチャ「AI橋渡しクラウド(ABCI)」の本格運用を開始した。そしてその能力を最大限に活かす"ABCIグランドチャレンジ"において10月、このAI向けクラウド型計算システムが深層学習の学習速度で世界最速を記録したことを発表(11月産総研ニュース)。

ディープラーニングの分散学習速度を計る際に業界で活用されているベンチマークにて、従来記録を大幅に塗り替える"224秒"を達成した(研究成果PDF)。ソニーは、学習プログラム生成用の統合開発環境「Neural Network Console」のクラウドサービスにおいて、「ABCI」との連携によるサービス提供を今月8日に開始する。

同社はおよそ2年前にニューラルネットワークライブラリを開放。その2ヶ月後には上記コンソールソフトウェアの無償提供を始め、昨年5月以降、複数GPUによる高速学習サービス――ウェブブラウザーでアクセスするだけで、最新機能とGUIベースの直観的なユーザーインターフェースやクラウドリソースを使用した本格的なディープラーニングのプログラム開発ができる環境の「クラウド版」を提供してきた。

同環境のGPUで「ABCI」を選択可能とした。今回、超高速にしてリーズナブルな価格の計算資源によるGUI開発環境を提供。これにより、AI開発における技術・コスト面のハードルを下げ、多彩な産業分野でAIの活用を促進していくという。同社は、最大10万円分のABCI GPUを無料で利用できるキャンペーンを4月末まで実施中だ。