オンデマンド交通にも対応するMaaSのデータ基盤を共同開発

あらゆるモノが「所有から利用へ」とシフトする。近年、シェア経済は個人のみならず企業や社会基盤にも広がりつつあり、交通システムでは自転車のそれから自動車のそれへと拡大し、交通弱者や旅行・買い物客の利便性のために移動手段そのものをサービス化する”MaaS”も萌芽している。

国土交通省では、交通サービスの諸課題を解決することを目指し、日本版MaaSの将来像や取り組みの方向性などを検討するため、「都市と地方の新たなモビリティサービス懇談会」が開催されている。今月4日、小田急電鉄ヴァル研究所は、鉄道やバス、タクシーなどの交通データやフリーパス・割引優待等の電子チケットを提供するためのデータ基盤「MaaS Japan」を共同で開発することに合意した。

それは、MaaSアプリにつなげる日本初のオープンな共通データ基盤として、他の交通事業者や自治体等が開発するMaaSアプリに活用できるものにするという。小田急電鉄は、MaaS Japan(商標登録出願中)アプリを用いて、今年末までに箱根エリアと新百合ヶ丘・町田エリアで、利用者のニーズなどを確認する実証実験を行う。そしてこの実験エリア外でも、第三者がMaaSの実地検証を容易に行える環境を提供する。

一方、ヴァル研究所は、シェアサイクルと公共交通の複合経路検索サービス「mixway」を開発した実績を活かして、鉄道・バス・タクシーのほか、オンデマンド交通にも対応したデータ基盤の開発を進めるという。MaaS Japanを通して、両社は、上記懇談会「中間とりまとめ」(PDF)も踏まえながら、日本のMaaSアプリケーションの普及および拡大に貢献していく。

営業距離120.5km、駅数70、年間約7億6千人を運ぶ(日本民営鉄道協会Webより)、小田急電鉄はグループの鉄道やバスなどの交通データを同基盤に接続し、ホテルや商業施設とのシステム連携も進めていくという。