医療向けAI、画像診断を支援するプラットフォームは進化する

日本は他の加盟国に比べて、人口あたりのコンピュータ断層撮影装置(CT)、核磁気共鳴画像装置(MRI)導入数が多い。医用画像撮影装置(モダリティ)が充実している一方で、その専門医が少ないのが現状だという。

経済協力開発機構(OECD)のデータサイトにある装置に含まれているのか否か、昨今、従来のヘリカルCTよりも遙かに高速に撮影できるマルチスライス(多列)CTなどが医療現場に導入されている。それら高性能な画像診断装置の普及により、読影する画像が増える。そのため、医師の効率的な画像診断を支援するしくみ即ち、高速画像解析が得意な人工知能(AI)技術を活用したソリューションへの期待が高まっているという。

富士フイルムは、同社の医用画像情報システム(PACS)上で、CT画像からの臓器自動抽出や骨の経時変化表示など、画像診断ワークフロー支援を実現するAIプラットフォーム「SYNAPSE SAI viewer」を開発。7月発売予定であることを今月4日に発表した。同プラットフォームは、「SYNAPSE 5」と接続して使用するもので、AI技術を活用して自社開発した画像診断ワークフロー支援機能を搭載している。

CT画像から肝臓・腎臓・脾臓など、個人差により形状が異なる臓器も自動抽出し、かつ医師が引用する骨番号を自動的に付与する「臓器抽出機能およびラベリング機能」、「骨経時サブトラクション機能」、スライス厚1mm程度のCT画像を生成する「Virtual Thin Slice機能」の3種を発売当初から提供し、7月以降も、新機能を継続的に開発し、追加アプリとして――。また、パートナー企業のアプリも追加提供していく。

3D画像の高速回転・拡大・縮小が可能で、画像診断における効率の向上と医師のストレス軽減に貢献するという。「SYNAPSE SAI viewer」は、2019国際医用画像総合展にて披露される。