自動運転可能な消防ロボット、人の接近を拒む火災現場で活躍する

近年その発生がますます懸念されている。南海トラフ巨大地震、首都直下地震の被害想定区域には、エネルギー・産業基盤が集積していて、石油コンビナート等で特殊な災害や大規模な火災が発生した場合、消防隊員が現場に近づけない状況に陥る可能性がある。

日本では主な施策として、そのような現場でも災害の拡大を抑制できるよう、緊急消防援助隊エネルギー・産業基盤災害即応部隊の資機材として、安全な場所への災害状況の画像伝送や放水等の消防活動を、複数のロボットが協調連携し、自律的に行う消防ロボットシステムの研究開発が行われている(平成29年度科学技術関係予算資料内閣府PDFより)。

「エネルギー・産業基盤災害対応のための消防ロボットの研究開発」について、これを平成26年度より5年計画で進めている消防庁消防大学校消防研究センターのプロジェクトに参画中の三菱重工は、今月22日、同社が開発した"実戦" 配備型「消防ロボットシステム」(動画:YouTube)――隊員の接近が困難な火災現場で活躍する「放水砲ロボット」と「ホース延長ロボット」の実演公開を同大学校で実施した。

上記プロジェクトのロボットのうち、同社の2機種は、堅牢な足回りで高い走破性を持つ農業用小型バギーを改造した専用車体にGPS(全地球測位システム)やレーザーセンサーを搭載し自律制御可能な移動台車としたものであり、互いが消防用ホースで接続された状態で火元へ向けて自動走行する(YouTube)高度な技術を搭載している。

放水砲ロボットは、人が近づけない場所で消火冷却を効果的に行い、ホース延長ロボットは、最大300mまで消防用ホースを自動敷設して放水砲ロボットに効率良く水を供給する。両機種は「偵察・監視ロボット」(飛行型/走行型)ならびに「指令システム」との組み合わせにより「消防ロボットシステム」を構成し、専用運搬車1台で火災現場へ移せる設計だという。