470級ヨットをIoT化、国際レースで上位入賞をめざす

全長470cmの2人乗り小型ヨットによる競技。「セーリング470級」は、舵取りとメインセール(主帆)を調節するスキッパーと、船の傾き調整とジブセール(前帆)の操作を担当するクルーにより、海上のブイを順に回り順位を競い合う。

日本の大学や実業団のヨット部の多くに採用され、世界でも多くのセーラーが国際レースでの上位入賞を目指し活動している。470級ヨットはワンデザインが基本。国際470協会による厳格な「470 Class Rules」に基づき、ライセンスを付与された企業のみが生産――その設計規格('19年ルール和訳PDF)の範囲内でいかに帆走性能を向上させるか、艇体、セール、マストなどの様々なチューニングが開発上の最重要課題になっているという。

ヤマハ発動機富士通は、IoT(モノのインターネット)の活用により470級セーリング競技用ヨットのパフォーマンス向上を狙う、実証実験を今月13日~4月30日、静岡県の浜名湖にて実施する。この実証実験では、艇体の各部に取り付けた各種センサーや装置にてセンシングしたデータを富士通のクラウドサービスで解析し、ヨットの傾きや速度、針路のデータなどを可視化する。

そしてその結果を基に、パフォーマンス向上に必要な調整項目を洗い出し、ヨットの帆走性能および選手のセーリングスキル向上に役立てる。作業を繰り返すことで、艇体構造、マスト、セールなどのチューニングに加え、選手の動作が艇速へ与える影響をデータとして把握して、より高いパフォーマンスを実現する最適解を導き出すという。

両社は今回、上記実証実験を含めた活動の名称を「Project 470 Sailing Analysis」とし、共同で取り組みを推進していく。活動を通じて、より高いパフォーマンスを発揮できるヨットおよびボートの開発基盤を構築し、グローバルにおけるマリン市場のさらなる発展に寄与していく構えだ。