エネルギー供給構造高度化法において、小売電気事業者は自ら供給する電気の非化石電源(再生可能エネルギー)比率を'30年までに44%とすることが求められている。目標達成を後押しするため、非化石価値取引市場が昨年5月に創設された。
小売電気事業者がその価値を証書として購入できる。同市場「JEPX」でこれまで販売されてきた非化石証書は、FIT(固定価格買取り)電源に由来する環境価値を証書化したものであったが、電源種や発電所所在地などの詳細情報は明らかにされていなかったという。経済産業省は昨年末、「トラッキング付非化石証書の販売にかかる実証実験」を行うと発表。
需要家の取り組みにも活用でき、その利便性がいっそう向上し再生エネ由来電気の調達の選択肢が広がると期待される。'19年2月に販売される非化石証書について、電源種や発電所所在地などのトラッキング情報を付与する。上記実証実験に参加することを3月1日、Jパワーが発表した。これにより、同社のFIT電源に由来する環境価値を証書化した非化石証書に電源種や発電所所在地等の属性情報が付与されることとなる。
小売電気事業者は、トラッキング付非化石証書を取得し電力と組み合わせることで、英国Climate GroupとCDP(ジャパンWebサイト)が実施する国際イニシアティブ「RE100」(所要電力を100%再生エネで調達)に加盟する企業など、環境意識の高い需要家への電力供給に活用でき、需要家は電気の再生可能エネルギー由来及びRE100への取り組みを訴求できるようになるという。
今回の実証実験スキームにおいて、くったり発電所(水力)と竹原火力発電所2号機(バイオマス)を登録し、それぞれエネット、エナリスPM社とトラッキングの事前合意をした。Jパワーは、このような取り組みを通して、再生可能エネルギーの利用拡大および低炭素社会の実現へ積極的に貢献していく考えだ。