北九州市と日立、地方公共団体のパブリッククラウド利用の実現性を探る

近年、地方公共団体においては、行政事務のデジタル化やデータ利活用、クラウド利活用が急務となっている。一方、マイナンバー制度の導入に伴い「自治体情報システム強靭性向上モデル」に配慮することが求められており、パブリッククラウド利用においてもセキュアなネットワーク環境を確保することが課題となっていた。
実証は、北九州市の「パブリッククラウド利用検討プロジェクト」と「文書事務見直しプロジェクト」の二つのプロジェクトを推進するもの。具体的には、北九州市のLGWAN接続系業務システム環境と、アマゾン ウェブ サービス(AWS)のIaaSやPaaS環境へのセキュアな接続とその有効性の検証を行う。
日立が2018年8月から提供を開始したLGWAN-ASPサービスである「地域IoT連携クラウドサービス」を活用し、LGWAN接続系業務システム環境からパブリッククラウド利用のためのネットワーク環境を分離し、ウイルスの感染を防ぐ無害化通信を維持しながら、庁内データの外部サービスとの連携を実現する。
また、OCRやAI、RPAなどの技術を組み合わせ、庁内文書事務の効率化を実現する新たなアプリケーションの検証も同時に行う。
北九州市では、実証結果をもとにパブリッククラウド活用の技術的課題の整理を行うとともに、文書事務の効率化とペーパーレスの推進及び市民サービスの向上を図る。また、近隣の地方公共団体とのアプリケーションの共同利用化に向けた取り組みを推進する。
日立は実証を通して、「自治体情報システム強靭性向上モデル」に配慮したLGWAN経由でのパブリッククラウド活用を実現する「地域IoT連携クラウドサービス」の先進事例の創出と実現に向けた課題の洗い出しを行うなど、地方公共団体のパブリッククラウド導入に向けた取り組みを今後も支援していく考え。