大腸内の画像診断、薬事承認済みAI技術で支援

日本国内において、その罹患数が第1位。悪性腫瘍における死亡数で第2位となっている、大腸がんは近年増加傾向にある。一方、大腸内視鏡を用いた早期がんや「腫瘍性ポリープ(前がん病変)」の切除は、死亡率の減少に寄与することが海外の研究で報告されている。

ポリープには、腫瘍性ポリープのほかに、切除を要しない「非腫瘍性ポリープ」もあるため、医師は検査中に両者を的確に判別する必要があるという。オリンパスは'18年2月に生体内の細胞までリアルタイムに観察できる超拡大内視鏡「Endocyto」を発売。そして今回、今年3月に、大腸の超拡大内視鏡画像を人工知能(AI)で解析し、医師の診断を補助する内視鏡画像診断支援ソフトウェア「EndoBRAIN®」を発売する。

上記ソフトウェアは、内視鏡分野において国内で初めて薬事承認を取得したAI製品――。昭和大学横浜市北部病院名古屋大学大学院、サイバネットシステム社により、日本医療研究開発機構(AMED)支援のもと研究開発された。臨床性能試験を経て、サイバネットシステムが昨年12月6日に医薬品医療機器等法の製造販売承認を取得し、同社からオリンパスが国内独占販売権を得たものだという。

オリンパス製の最大520倍観察が可能なEndocytoで撮影された大腸の超拡大内視鏡画像を、AIが解析し、検査中にリアルタイムで「腫瘍性ポリープ」または「非腫瘍性ポリープ」の可能性を数値として出力し、高い診断精度(国内多施設後ろ向き性能評価試験で感度96.9%、正診率98.0%)により、医師の診断をサポートする。

約6万枚の内視鏡画像を学習させた「EndoBRAIN®」は、NBI(狭帯域イメージ)観察モードと染色観察モードの2種類を搭載していて、NBI観察で得られる血管像や、染色観察で得られる細胞核の画像をAIが解析し、腫瘍・非腫瘍の可能性を数値表示することで、医師の診断を支援する。