農業IoT、トマト栽培のアドバイスを新たにする試みへ

あらゆる産業で人手不足が言われている。日本では少子高齢化が加速しつつ、生産年齢人口の減少に歯止めが掛からない。この社会問題による影響を軽減するためにも、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」などの先進的IT(情報技術)を生産現場に導入する動きが拡大している。

我々人間の生命を支え暮らしを豊かにする産業――農業においては、ただ人手不足のみならず、事業承継や、知見及び栽培ノウハウの伝承が課題になっている。そこで、より良い種子を創造し、高品質の種苗を安定供給するとともに、農園芸資材商品を幅広い顧客に提供することを使命としているタキイ種苗は3月1日、NTTテクノクロスとIoTを活用したトマト農家への新しい栽培アドバイスの方法を開発する共同実験を開始する。

栽培ノウハウの継承や新規就農者の確保が難しくなりつつある農家へ、同社はこれまでも長年培った農業ノウハウをもとに栽培アドバイスを行ってきた。そして今回、更なる農業の普及に貢献するため、NTTテクノクロスとともに、新たな栽培アドバイス方法の確立を目指すという。共同実験の実施場所は徳島県の「Tファームいしい」、期間は6月末までを予定している。

トマト栽培施設内に複数の温度・湿度センサを設置し、無線ネットワーク経由でデータを収集・蓄積する。同データを即座に確認できるスマホアプリを開発。それを用いる社員がトマトのサイズや品質安定化に向けた適切な助言を行う方法を検討する。今回の実験で得られるデータやアプリケーションを、タキイ種苗が栽培アドバイスに応用することで、現状では難しい農家における出荷品質を満たした収量の1割向上をめざす。

両社は今後、農業IoTデータを活用し、環境制御や生産管理による収量アップ、栽培データ分析による高品質・ブランド化、作業工程の見える化・自動化による省力化、さらにAIなど先端ITと栽培ノウハウの融合にも取り組んでいくという。