富士通、PHRの情報を含めた健康医療情報管理基盤を提供開始

富士通は、個人の健康医療情報といった「Personal Health Record」(PHR)の集約・統合の実現を目指し、PHRの情報を安心安全に保管・活用できる、健康医療情報を起点とした個人向けサービスの統合管理基盤PaaS「FUJITSU ヘルスケアソリューション Healthcare Personal service Platform」(以下、Healthcare Personal service Platform)を開発し、サービス提供を開始した。

超高齢社会の到来を踏まえ、政府は、健康寿命の延伸に向けた「データヘルス改革」を推進し、一人ひとりが予防・健康管理・重症化予防に向けた効果的なサポートを受けやすい環境の整備を目指している。しかし、医療情報を含めたパーソナルデータは、現在、様々な場所に格納されており、それらを統合的に管理する環境は十分に整っておらず、個人向けサービスを提供しようとする企業や団体にとってサービス展開の障壁になることが予想される。

富士通は、医療情報を含めたパーソナルデータの活用を見据え、2013年に健康医療情報管理の基盤に関する研究を開始し、ICT利活用による健康増進や個別化医療などの実現に向けた取り組みを行っている。2015年から現在の医療・介護・健康分野における情報を活用できる形で集約したヘルスケアICT基盤の開発を進めてきた。また、多様な業種のノウハウを持つ当社の強みを生かし、健康医療情報を活用したクロスインダストリーサービスの創出に向けて、自治体や薬局などとの実証実験も行ってきた。

Healthcare Personal service Platformは、機微な個人情報である健康医療情報を活用した新たなサービス提供を目指す企業や地方公共団体向けに、富士通の健康・医療分野におけるシステム開発の実績や、国内シェアNo.1の電子カルテおよび地域医療ネットワークのシステム開発で培ったノウハウをもとに、堅牢性の高いデータ保管やデータの効率的な活用をPaaSとして実現したもの。

個人のデータを活用する際には、本人の同意とともに家族を含むデータアクセスコントロールが必要となる。このサービスでは、同意管理や、家族などの第三者を含めたユーザー管理機能により、登録された利用者間でのアクセスコントロールを実現する。医師と患者、親子など利用者間および家族との関係までも表現することでデータアクセスコントロールが可能な利用者管理機能を標準装備している。これにより、個人が許可した相手に対してのみ情報のアクセスが可能となる。

医療情報を扱う上で、厚生労働省(医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第5版)・経済産業省(医療情報を受託管理する情報処理事業者における安全管理ガイドライン)・総務省(クラウドサービス事業者が医療情報を取り扱う際の安全管理に関するガイドライン 第1版)が定めた医療情報システムに対する各ガイドラインに記載があるクラウド事業者が守るべき数百項目に対応しており、安全を担保したデータ管理・運用を実現する。

また、同サービスは、30年に渡って医療システム開発および運用に携わったノウハウをもとに、医療情報を扱う上で必要となるセキュリティ対策や、データ流通を促すための医療業界の標準化の技術や知見を搭載した基盤。さらに、国際的な標準規格であるID-WSFを連携方式に採用することで機微な医療情報をやり取りするための、安全性を担保しているという。

PHRのデータ活用を推進するため、電子カルテシステムで国内シェアNo.1の強みを活かして、自社電子カルテシステム「FUJITSU ヘルスケアソリューションHOPE LifeMark」シリーズや地域医療ネットワークシステム「FUJITSU ヘルスケアソリューションHumanBridge EHRソリューション」などの業務システムとの連携を想定したデータ活用APIを標準装備することで多くの医療情報の活用を促す。

さらに、業務システムと連携したデータ活用サービスの開発効率を向上させるためのAPIなどのツールを標準提供。今後、さらに幅広いデータを扱うため、業務システムとの連携を拡大する予定だ。

同サービスの提供価格は、初期費用が300万円から、従量課金制で月額10万円からとなっている。同社は、2022年度末までに120団体の販売を目指す。