日本の高齢化率は27.3%。3人に1人が65歳以上であると平成29年版高齢化白書はいう。みなが健康長寿であれば良いが、実際は治療や介護を要する人が多い。そこでIoT(モノのインターネット)などの先進技術を活用して、高齢者らの安全安心を確かにする取り組みが始まっている。
総務省が示す「医療・介護・健康分野の情報化推進」などよりも一層身近なところでは、ICT(情報通信技術)を用いた高齢者の見守りサービス/システムがある。だが従来の介護施設向け見守りシステムでは、ベッドもしくはその周辺に配置するセンサーでの問題点が指摘されている。マットセンサーは利用者に違和感を与えるほか、寝返りなどを誤検知し、クリップセンサーは身体を拘束するうえにスタッフの付け忘れも招く。
また、赤外線センサーは、検知範囲が限定的で位置調整に苦労し、日差しのある明るい部屋では正しく動作しないという。東京電力HDとOrigin Wireless社は12日、入居者の危険察知と介護スタッフの負担軽減に寄与する「スマート見守りサービス」(PDF資料)の実証実験を開始した。「便利」「簡単」「お得」な同サービスの最大の特長は、最新のセンサー技術等により、各居室で利用者の「動作や呼吸の状況の検知・通知」が可能になることだという。
OW社のWi-Fiセンサー技術(TRM)を搭載した端末「Origin-Bot」を居室内のコンセントにつなぐことで、電波の変化をもとに室内での動作や呼吸の状況をリアルタイムに検知可能となる。各居室内の検知データは、東電HDの持つ屋内通信技術により、新たなLAN回線を要さず、既設配線を利用して、介護スタッフが即座に確認できる。
今回の実証施設は「東電さわやかケアポート としま」であり、両社は今後、ここで得られるニーズや技術的な課題等を検証し、同サービスの早期実現と更なる品質向上に取り組んでいく構えだ。