IoT機器からクラウド環境への通信量を大幅に削減する実証実験を開始

日本電気(NEC)、東京大学 大学院情報学環中尾研究室、日本電信電話(NTT)、早稲田大学は、IoT(モノのインターネット)共通基盤を共同で開発し、IoT機器と共通基盤間における重要通信保護に関する実証実験を2018年12月中旬から中国地方で開始したことを発表した。

具体的には、水位・降雨センサーから集めた情報に基づいて河川氾濫を予測。データの緊急度・重要度に応じてIoTゲートウェイとクラウド環境との間でデータ処理アプリケーションの機能を移動させることで、ネットワークに流れる通信量を削減できることを実証する。


これらは中国地方に設置した各種センサーおよびIoTゲートウェイとYRP横須賀リサーチパークに設置したクラウド環境、情報通信研究機構(NICT)が運用する大規模センサー・クラウド基盤テストベット(JOSE)を活用して、2018年12月中旬から2019年2月中旬までに実証を行い、技術の有効性を評価する。

四者はこれまで効率よく最適・動的にネットワークを活用可能なIoT共通基盤技術、および、その具体的アプリケーションの検討を行ってきた。現時点での試算では、約90%の通信量を削減できる見込みだ。今回の実証実験は、本基盤の効果検証の1つであり、総務省の委託研究「IoT 共通基盤技術の確立・実証」プロジェクトの成果となる。

実証実験では、水位・降雨センサーなどのデータをもとに学習機能を用いて河川水位の予測モデルを作成し、予測機能が本モデルを用いて河川の氾濫予測を行うアプリケーションを活用する。

平常時にはこれらの機能をクラウド上で実行し、緊急時には、災害発生が予測される重点地区から詳細なデータの収集に必要な通信帯域を確保するため、非重点地域における予測機能をIoTゲートウェイに移動させて通信するデータ量を削減。これにより、小規模な設備でも河川監視ができるようになり、2級河川等へも展開が可能になると期待される。さらに、得られた予測結果をコンテンツ指向ネットワーク(ICN)技術を用いてユーザーに配信する。