ハイウェイ渋滞予測の技術と知見、AIが引き継ぎ混雑緩和

連休中やお盆、年末年始の旅行や帰省で皆がよく使う。高速道路はしかし、そんな時期だからこそいつも大渋滞が予想され、各々出発時間をずらすなどして、渋滞に巻き込まれる当人や家族の苦痛を少しでも和らげようと工夫する道でもある。


数ヶ月先の渋滞カレンダー等を作成している日本の高速道路会社には渋滞予報士がいて、彼彼女が行う渋滞予測は大きく分けると「1.過去渋滞実績の重ね合わせ(3年分)」、「2.過去渋滞実績の精査」、「3.直近の交通動向の加味」、「4.補正作業(近接する渋滞の結合、接続する路線への影響考慮)」に分類されるという。

NEXCO東日本とグリッド社は、AI(人工知能)を活用し、渋滞予報士が行ってきた予測を可能とする技術の開発に成功。グリッドが開発・提供しているAI開発プラットフォーム「ReNom」と、NEXCO東日本が持つ渋滞予測技術を用いて、渋滞予報士と同等の予測モデルを開発――。実用化の目途が立ったと12月21日発表した。

AIによる渋滞予測モデルは、渋滞発生に大きく影響しそうな過去の要因データを学習させ、将来のある日時、場所における渋滞発生の有無を予想させるものであり、今回の開発は関越自動車道を対象としていて、'04年~'18年までの約14年分の大量データ「トラフィックカウンターと呼ばれる装置から得られる5分毎の速度、交通量データ」と「各年のカレンダーパターン(曜日配列及び祝日配置等)」を学習に使用した。

学習に際して、NEXCO東日本の渋滞予測のノウハウと、グリッドのモデルエンジニアリング技術を掛け合わせて教師データを作成している。AIによる渋滞予測の精度は、今年の関越道での交通混雑期(GW、お盆)において、予報士の予測実績との比較でほぼ同等、予測の空振り率、見逃し率ともに約2割程度だったという。両社は今後、対象路線の拡大および新たな学習データの可能性等も検討していく構えだ。