船舶の自律航行に向けた自動衝突防止を支援する実証実験

商船三井と商船三井テクノトレードは、海上技術安全研究所および東京海洋大学と「先進的な航行支援システムに関する共同研究」の評価、および研究成果の公開実験を、海上技術安全研究所が有する水平視野角240度の操船リスクシミュレータを用いて実施した。


操船時の当直においては、まず対象物が見えている、認識できるかどうか、その次に当該対象物が本船に対し危険を及ぼす可能性があるかどうかを判断する。危険を及ぼす可能性があると判断された場合は、変針や減速など何らかの手法によりその危険を回避する行動を取る。「相手船による航行妨害ゾーン(OZT:Obstacle Zone by Target)」は、対象物が見えるかどうかと、危険を及ぼす可能性を判断する支援を行うもの。

従来の衝突回避は航海士の経験と知識に基づいた熟練作業となるが、船舶の衝突回避アルゴリズムであるOZTの概念を導入した航行支援システムを活用することで、自船が安全に航行することができる領域を見つけることができ、安全運航を適切に支援する。また、船橋から見える風景に相手船の位置を合わせて表示することで、どの方位に衝突の危険があり、危険対象がどの船舶かを照合できる。

今後は、AISやレーダーの情報と船橋からのカメラ映像を重ねて表示する拡張現実(AR)や、OZTを活用する自律航行や自動衝突防止に繋がる先進的な航行支援システムの実現に向けて研究開発を進める予定。