牡蠣の養殖、先進ICTとAIでスマートに

この季節、鍋料理が美味い。英語で"R"のつく月に旬を迎える牡蠣(かき)は土手鍋にしてもいいし、大ぶりのそれをそのまま生で食べても大満足であることは間違いなし。日本一の生産量を誇る県といえば、世界遺産でもある国宝厳島神社の大鳥居が目に浮かぶ――。


平成29年統計(農水省PDF資料)によれば、海面養殖業都道府県別収穫量(かき類)103,500トンで断トツの1位である。広島県は今、AI(人工知能)/IoT(モノのインターネット)など先進ICT(情報通信技術)を活用し、県内企業の付加価値創出や生産効率化、県外の企業・人材とも様々な課題を試行錯誤しつつ解決していける「ひろしまサンドボックス」事業を展開している。

そこで今月下旬、東京大学とシャープは、NTTドコモや中国電力など8企業・団体と連携し、「スマートかき養殖」の実証実験を江田島市にて開始。'21年3月末まで行う予定の同実験は上記事業の採択プロジェクトであり、かき養殖に最適化したデータを漁業者が活用しやすい情報として配信するための通信インフラおよびサービスプラットフォームの在り方を検証するものだという。

専用の次世代通信インフラ(プライベートLTE/LPWA)を構築し、漁場のブイや養殖用筏(いかだ)にセンサを設置。海水温や塩分濃度などを遠隔監視するとともに、ドローンカメラでかきの幼生が多く生息する場所や潮流等を観測する。これらのデータをクラウドで収集・蓄積し、AIが分析・予測を行い、採苗に適した場所や時期を養殖業者のスマートフォンに知らせる。

水中監視センサにより天敵魚の接近も検知して通知する。AI/IoTの活用により、かきの生育環境を遠くからもリアルタイムに把握し、早期対応が可能となる。採苗不調や育成不良を抑制し、生産の効率化や業務効率の改善、労働負担の軽減が期待できる。養殖ノウハウの可視化によって、後継者育成にも貢献するという。

ニュース出典:AI/IoTを活用した「スマートかき養殖」の実証実験を開始|シャープ株式会社
http://www.sharp.co.jp/corporate/news/181213-b.html

キーワード:シャープ株式会社,AI,IoT,スマートかき養殖,実証実験
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カテゴリ:情報通信,ロボット/AI

あらゆるモノと車両間でセルラー通信、V2Xが国内でも実用化へ!

(BP-Affairs編集部)

インターネットにあらゆるモノがつながる。IoT技術は昨今、さまざまな産業や社会インフラ、医療分野などでも活用が進んでいる。近未来のコネクテッドカー(つながる車)、そして自動運転車両とそのインフラにおいても、標準化された無線通信技術は必須であり、非常に重要な役割を果たす。

移動体のブロードバンド通信分野で国際標準化を進めている団体3GPPは、安全運転支援への適用を想定して、Release14で車両とあらゆるものをつなぐ通信技術を規格化。この取り組みによる「セルラーV2X」は、車同士(V2V)、交通インフラと車間(V2I)、歩行者と車間(V2P)の直接通信と、車から基地局を経由して行う通信(V2N)で構成されているという。

OKIは、コンチネンタル、エリクソン、日産、NTTドコモ、クアルコムと共同で、時速110kmでの走行時や、車両間に遮蔽物が存在するケースなど多様な走行環境において、日本国内初となるセルラーV2Xの実証実験に成功した(共同実験報告書PDF)。

基地局を介さない「直接通信技術」では見通し環境で遅延の中央値20ミリ秒、最大伝送距離1.2kmを達成し、「LTE-A」を用いた車と基地局間通信では中央値50ミリ秒の遅延で伝送できた。さらにV2V、V2I、V2P「直接通信技術」と「LTE-A」経由の通信特性評価では、追い越し禁止警告、急ブレーキ警告、ハザード警告、交差点通過アシスト、歩行者警告の5ケースについて、複数テストコースと実験場所にて規格の通信性能を確認した。

OKIは交通インフラとなる路側機を構築し、「直接通信技術」を提供してV2Iによる各種アプリケーションの適用可能性を検証したという。今回の実験結果から、セルラーV2Xには、緊急性を要する通信に適した「直接通信技術」と、広域での情報収集と配信に適した「LTE-A」を用いた通信とで互いの特性の補完が期待できるという。