住友林業、3DCADを刷新してよりリアルな立体画像による提案を実現

デジタルコンテンツ関連ビジネスを展開するシリコンスタジオは、住友林業と共同開発した3次元住宅プレゼンテーションシステム(3DCAD)において、当社が開発・販売するリアルタイムレンダリングエンジン「Mizuchi(ミズチ)」が採用されたことを発表した。


Mizuchiは、シリコンスタジオが開発・提供する3DCGの描画に特化したレンダリングエンジン。金属や樹脂、ガラス、布、材木など多種多様な質感を実写に迫る品質で表現することが可能です。建築物に用いられる様々な素材を再現する。これまでも多くの不動産や建築分野のCGコンテンツ制作で採用されてきた。

住友林業の新型3DCADシステムは、住宅のCADデータから3DCGの施工イメージを生成し、3次元でのバーチャル内見を可能にする施主向けプレゼンテーションシステム。内観や外観を様々な角度から確認できるという。

住友林業では、よりリアルな立体画像による提案を実現させるため、新型3DCADシステム「Real Time 3D」のレンダリングエンジンを従来のものからMizuchiに変更することを決定し、移行作業が完了した。住友林業の住宅展示場、ショールームなどで全国的に利用開始されている。

今回の導入により、新型3DCADシステムでは、素材の材質のPBR(物理ベースレンダリング)化によってフォトリアルな質感の表現が向上。また、全天球画像を光源とするIBL(イメージベースライティング)とライトプローブによるグローバルイルミネーションにより間接光の表現が可能となった。ライトプローブとは、シーン中に複数設置し、周りのオブジェクトから間接光の影響をあらかじめ計算して照明効果を表現する技術のこと。

また、深みのある陰影や映り込みの描画が実現できるようになった。ライトプローブは、あらかじめ設定されているテンプレート情報に従って最適な場所へ自動的に配置されるため、専門的な知識は不要だ。

さらに、体が近接して狭くなったところや部屋の隅などに周囲の光(環境光)が遮られることによって影が現れる現象を擬似的に追加する技法である「SSAO」や、水たまり、テーブルなど、局所的に周囲の風景が写り込んでいる様子を材質の反射特性に応じて表現する「RLR」、撮影レンズや人間の眼球で眩しい箇所を捉えたような光の溢れ出しを表現する効果がある「グレア」などのポストエフェクトの機能により、リアルな住宅の空気感を表現する手法の幅が広がったという。

シリコンスタジオでは、Mizuchiのライセンス提供に加えて、旧レンダリングエンジンからの移行作業も支援。また、旧システムの材質ライブラリから簡易的にPBR化した材質に変換できる専用コンバーターも開発し、提供した。これにより、旧システムでの資産も有効に活用できる。