社会のしくみや人々の暮らし、各種ビジネスにおいてもIT(情報技術)を活用したデジタル変革が進む。昨今だが、消費者への広告や投資家への広報など、特殊あるいは専門用語が並ぶ企業の制作物における校閲・校正業務は、膨大な作業量やスキル・ナレッジが属人化しがちである。
上記課題に対して、業務負荷の軽減と経験値に左右されない校閲・校正精度の安定した品質が求められているという。みずほ銀行と凸版印刷は今月、AI(人工知能)を活用した校閲・校正支援システムの実証実験を開始する。凸版印刷が開発したWebや情報誌の編集業務の最適化を実現する「AIを活用した校閲・校正システム」を導入し、みずほ銀行の広告制作物における校閲・校正業務の自動化を検証するという。
金融業界のアナログ業務――人の手を使った業務について、デジタル化および最新AI技術の導入により、校閲・校正の精度向上を目指す。同システムは、制作媒体における校閲・校正業務の一部を自動化し、その精度向上と作業者の業務負荷軽減を実現する。AIについては、従来検出できなかった「助詞」や「漢字変換」などの誤りを、ディープラーニング(深層学習)などの先進技術を用いて検出可能とした。
標準機能の「正しい日本語チェック」に加えて、顧客企業ごとに独自のチェックルールに合わせて柔軟なカスタマイズができる。システムは作業者の校閲・校正業務を幅広くカバーするという。みずほ銀行は、今回一部広告制作物を対象にこの実証実験を行い、以後は広告制作物全般の校閲・校正業務へ同システムの適用を拡大させていく予定。
凸版印刷は、今回の共同実証実験を通じた効果検証により、同システムの精度向上と汎用サービス化に向けての取り組みを進める。そして今後も同システムをはじめとするデジタルを活用した制作物の品質向上、業務効率化に向けたサービスの提供を推進していく構えだ。