保育所の入所選考をAIで 千人規模の保育所割り当てをわずか数秒で算出

富士通は、AI技術「FUJITSU Human Centric AI Zinrai(以下、Zinrai)」を搭載した自治体職員向け保育業務支援ソフトウェア「FUJITSU 公共ソリューション MICJET MISALIO 子ども子育て支援V1 保育所AI入所選考」(以下、MICJET MISALIO 保育所AI入所選考)を開発し、提供を開始した。

MICJET MISALIO 保育所AI入所選考は、申請者の多様な要望や自治体が定めるきめ細かい基準に基づき、数秒で千人規模の児童の保育所割り当てを自動で行える業界初の自治体向け保育業務支援ソフトウェアだ。

保育所入所選考業務は、各自治体が定める申請者の優先順位やきょうだい同一入所希望などの複雑な条件に基づき、全申請者の希望が最大限かなうよう自治体職員が試行錯誤により割り当てている。しかし、選考作業や申請者への結果通知に時間を要している。また選考が複雑化するため、きめ細かい要望に対応する新たな基準を採用しにくい課題があった。

MICJET MISALIO 保育所AI入所選考は、ゲーム理論と呼ばれる利害が一致しない人々の関係を合理的に解決する数理手法を応用したZinraiの技術を用いる。優先順位に沿って可能な限り全員が高い希望をかなえられる千人規模の割り当てを数秒で導き出す。

保育所利用調整指数、希望施設、きょうだいの入所希望など児童ごとの情報や、保育所の空き定員情報など、入所選考に必要な情報を子ども子育て支援システムから、MICJET MISALIO 保育所AI入所選考に取り込む。抽出元の子ども子育て支援システムは、同社の「FUJITSU 公共ソリューション MICJET MISALIO」(以下、MICJET MISALIO)だけでなく、他社製品でも対応可能。

きょうだいの入所の条件や希望保育所の優先順位などの申請者の多様な要望や、自治体が定める保育所利用調整指数に基づく優先順位やきめ細かな基準に基づき、優先順位に沿って全員が可能な限り高い希望をかなえられる入所選考割り当てを数秒で導き出す。

従来、中核市などで延べ約1000時間かけていた数千人規模の入所希望児童の選考を数秒で完了できる。これにより、保護者への決定通知を早期に行えるため、住民サービスの向上にもつながる。選考結果は電子データと帳票形式の両方で生成されるため、結果入力作業工程についても効率化できる。

入所選考結果について、希望の保育所に入所できなかった場合などの理由を説明する支援機能を有しており、保育所の空き状況や希望順位、きょうだい入所条件に基づいて結果を説明できる。住民からの問い合わせや窓口対応を円滑に行えるとともに、透明性の高い説明責任を果たすことも可能だ。

現在、滋賀県大津市をはじめとする30以上の自治体で実証が行われている。また2018年度中に滋賀県草津市が導入を予定しており、東京都港区も2019年度中の導入を検討している。富士通では、2020年度末までにMICJET MISALIO関連ビジネスで、累計売上約20億円を目指す。