農業用ドローンを開発、農薬散布作業の効率化に寄与

ヤマハ発動機は、1回のフライトで1ヘクタールの連続散布と、同社産業用無人ヘリコプター(以下、無人ヘリ)に匹敵する高い散布品質を実現する農業用マルチローター(通称ドローン)「YMR-08」を2019年3月から発売する。また、ドローンによる農薬散布のためスクール「ヤマハマルチローターアカデミー」を2018年11月に開講する。


YMR-08は、ドローンとして「散布現場で本当に必要なものは何なのか?」を基本設計思想とし、狙い通りの農薬散布ができる散布装置を目指して開発。農業の現場のプロが必要とする性能を実現するために「二重反転ローターによる力強いダウンウォッシュ散布機能」「オペレーターの負担と農薬散布ムラの低減を狙いとした3つのフライトモード選択機能」「ジャパン品質のカートリッジ式バッテリーとモーター」などを備えている。

農薬を作物の根本まで届けるダウンウォッシュ(下降気流)性能、オペレーター操作の負担軽減と、散布精度の均一化を目的とした3種類のフライトモード選択機能、国内メーカーと専用開発したジャパン品質のバッテリーとモーター、スピーディーな交換作業ができるカートリッジ式のバッテリー、衝撃低減、飛散防止を図るカーボン製ハイブリットローター、作業車に簡単に積み込むことができる可搬性に優れた折りたたみ式のコンパクトな機体設計などを有する。

1990年に50代だった日本の農業就業者の平均年齢は現在66才を超え、農業就業人口は同期間で480万人から200万人前後まで減少。現在の日本の農業では農薬散布作業の省力化・効率化が強く求められている。

同社はは1988年に、薬剤散布に用いる無人ヘリの発売を開始し、2017年末時点の国内における無人ヘリの保有台数は2,700機を超えている。2017年の無人ヘリによる薬剤散布は年間延べ面積100万ヘクタールを超え、国内水稲作付面積の40%以上をカバー。30年にわたる無人ヘリによる防除の経験とノウハウを元に、日本の農業の省力化・効率化への貢献を目指し、新製品の開発を進めてきた。

また、散布産業用無人ヘリコプター教習「ヤマハスカイテックアカデミー」で培ったノウハウを活かし、効率的な農薬散布のポイント、安全な操作など、農業の現場で即戦力となる教習を提供。アカデミーを受講し修了検定に合格すると、農林水産航空協会が交付する「産業用マルチローターオペレーター技能認定証」を取得できる。参加費用は、27万5,000円(税別)となっている。