人工知能(AI)の活用が産業から医療、社会インフラに至る様々な分野で検討され、具現化されつつある。近年、「自然知能」と呼ばれる全く新しいタイプの機能が注目され、新たな光材料や光デバイスを用いた光コンピューティングの実現に向けた研究が活発だという。
そこでは、主要素である光記憶にも既存の技術からの革新が求められていて、光による分子の構造変化(光異性化)によって光情報を記録し消去できるフォトクロミック分子に着目――。分子1個の大きさは1nm(10億分の1メートル)程度であり、それは超小型の不揮発性メモリだという。 山梨大学、龍谷大学およびNICTネットワークシステム研究所の共同研究グループは、nmサイズの針先の近接場光により、光記憶性能を持つフォトクロミック単結晶の表面に光の波長以下の大きさの英文字パターンを描き、さらに消去にも成功した。世界初の報告となったこの度の実験は、波長より小さなスケールにおいて、意思決定などの知的機能に...