あらゆるモノがネットにつながる「IoT」が一次産業から三次産業、社会インフラや医療に至る、様々な仕組みやビジネスを変革し始めている。いま、それは次世代移動体通信システム(5G)を得ていっそう広く高く、展開されていくことが期待されている。
現状よりも100倍速く、遅延が1/10になり、エッジデバイス群を同時接続できる5Gによって、特に屋外におけるIoTの景色が一変することは間違いない――。この国がめざすデータ駆動型の「超スマート社会(Society5.0)」においても、次世代の通信基盤が果たす役割は非常に大きい。
今月18日、KDDIは、野村総合研究所(NRI)、会津アクティベートアソシエーション(AAA) と、会津若松の地場産業である「日本酒造り」の工程に、5GやIoT技術を活用した実証事業を開始した。福島県は今年度の全国新酒鑑評会にて、6年連続で金賞受賞数日本一を達成していて、会津若松市は日頃の感謝を込めて、「日本酒の日」である10月1日に「会津清酒で乾杯!」イベントを行う。
日本酒のもととなる米作では、圃場全体の生育状況の把握が困難で、施肥量調整が難しい。また、酒造りでは人口減少や少子高齢化による後継者不足、負担増、杜氏の引退に伴う醸造管理の知見喪失といった課題がある、ゆえに3社が、JA会津よつばや福島県ハイテクプラザ会津若松技術支援センター、会津若松市の協力を得て取り組む。
今回の実証事業では、5GやドローンをはじめとしたIoTソリューションを酒造りの各工程に導入し、作業の効率化や負荷軽減をめざす。米作りに4G LTEを用いたスマートドローンを導入して遠隔からの稲の生育状況把握、酒造工程における5Gを活用した4K映像伝送によるもろみ熟成の管理、配送における温度管理タグ活用等を検証することで、日本酒造りの幅広い工程の効率化を図るとともに地場産業の活性化に貢献するという。