昨今、サイバー空間とリアルな物理空間の情報を連携・管理し、機会損失を防いだり、利益アップを図ったりする"オムニチャネル戦略"が普及している。小売業界においてそれはただ2種類の販路、EC(電子商取引)サイトと実店舗で物を売るだけで終わっていないだろうか――。
日本全国で109箇所、総合スポーツ量販店を展開するヒマラヤはオンラインストアなどEC事業にも注力している。投資効果を最大化するECサイト構築ソリューション「FUJITSU Business Application SNAPEC-EX」を導入し、店舗での顧客対応のみならずECサイトとの両輪で顧客満足度の向上やマーケティング強化を図っているという。
富士通は、今月19日から来月3日まで、「ヒマラヤオンラインストア」のアウトドア特集ページを閲覧する客のモバイル端末におけるタッチ操作の速度や端末の向き、揺れからAI(人工知能)が顧客の心理を分析し、心理に応じた最適な情報をタイムリーに提供する実証実験を行う。「FUJITSU Human Centric AI Zinrai」の、メディアデータに基づいて人の感情・気づき・気配りまでも処理する「感性メディア処理技術」を活用する。
顧客がモバイル端末で商品ページを閲覧する時間やスクロール速度、端末の揺れなどのデータを取得し、富士通研究所が開発した心理分析AI技術を用いて、商品に対する関心や迷いを推定――。関心や迷いの度合いに応じて表示するメッセージを切り替え、顧客の心理をタイムリーに捉えた接客を実現する。
この度の取り組みでは、閲覧ページの遷移データと心理データの相関関係を分析することにより、顧客が購買に至るまでにどのような心理で商品を比較検討するかを把握することが可能になり、ECサイトにおける顧客満足度向上への施策検討、将来的にはマーケティング戦略への活用についても効果を検証していくという。