自動運転技術の実現に向けた半導体の開発を加速

デンソーのグループ会社で、半導体IPの設計、開発を行うエヌエスアイテクスは、自動運転技術の実現に向け、次世代の高性能半導体のキー技術を保有する北米のスタートアップ企業ThinCIに出資を行った。デンソーは2016年にThinCIへ出資を行っており、今回追加する形となった。


デンソーは、1968年にIC研究室を発足させ、以来、長年にわたり車載半導体の開発に取り組み、ECUやセンサーの高性能化を実現してきた。近年、自動車の電子制御は高度化が進んでおり、それに伴い、車両に搭載される半導体も増加している。特に自動運転の時代には、自動車の周辺環境をセンサーや車外からの通信により入手した膨大な情報を高速処理で把握して、自動走行に必要な判断処理ができる消費電力の少ない高性能半導体が求められる。

デンソーは、自動運転技術に必要とされる半導体の実用化に向け、2017年9月に次世代の高性能半導体IPの設計、開発を行う新会社エヌエスアイテクスを設立した。現在、エヌエスアイテクスで開発を手がけている「データフロープロセッサ(DFP)」は、従来型プロセッサであるCPUやGPUとは特性が異なる新領域のプロセッサで、複数の複雑な計算処理を反射的に処理することが可能。さらに、その時々の情報量や内容に合わせて計算領域を瞬間的に最適化できるため、消費電力や発熱を抑えられる。

今回、エヌエスアイテクスが出資を行うThinCIは、DFPにおける計算領域を最適化し、効率よく同時処理を行う技術を有している。デンソーは、2016年にThinCIに出資を行い、DFPの実用化に向けた共同開発を行ってきた。今回、さらに追加で出資を行うことでThinCIとの連携を強化し、DFPの開発を加速させたい考え。