あらゆるモノがネットにつながる「IoT」時代を迎えた今、データ活用の重要性がいっそう高まっている。単にモノ同士をつなぐだけではなく、そこから上がってくる膨大なデータを分析・解析して「情報」に変え、産業や社会インフラ、生活や医療の高度化に活かす、IoT本来の目標クローズアップとともに。
IoTといえば、画像処理を得意とする人工知能(AI)技術との併用を前提にしているケースが増えてきた。AIは情報処理システムの一形態であり、IoTもそうであるから然もありなん――。現場でデータを生成するしくみと、そのデータをもとに推論するしくみとが一つになってこそ、人や装置、企業や社会で活用可能な情報を創出できる。
今月6日、「思い」をつなぐコミュニケーション技術のプロフェッショナル集団である日本無線(JRC)は、新エネルギー・産業技術総合開発機構と、「人工知能を活用した交通信号制御の高度化に関する研究開発」についての業務委託契約を締結したと発表――。IoT等により得られる情報を活用して、AI技術を用いた自律分散型の交通管制方式を確立し、低コストで高度な交通管制システムの実現をめざす。
研究は、NEC、住友電気工業、慶應義塾、産業技術総合研究所、千葉大学、東北大学、東京大学、UTMS協会と共同で実施するという。JRCは、交差点における横断者の位置と進行方向を高精度に検出し、AI技術を用いて横断者の動態把握を自律的に行うセンサーの開発を目標にしている。
交差点や横断歩道における歩行者および自転車の行動を、センサーおよびカメラ映像により捕捉し、専用AIによる機械学習を行うことで、危険性を事前に把握し、横断者・ドライバー双方に注意喚起する。しくみと研究開発の成果は、自律分散型の交通管制に使用されることにより、交通の安全および円滑だけでなく、時間便益、走行便益、CO2削減など経済効果への寄与も期待できるという。