口唇口蓋裂に伴う鼻変形治療の実用化へ

富士ソフトは、2007年から科学技術振興機構の委託(2015年4月からは日本医療研究開発機構(AMED)より委託)を受け取り組んできた「医療分野研究成果展開事業 研究成果最適展開支援プログラム」における「先天性顔面疾患に用いるインプラント型再生軟骨」が、2018年8月10日付の成否認定にて成功と認定されたと発表した。


富士ソフトでは、産学連携活動の一環として、2005年11月より東京大学医学部附属病院で「軟骨・骨再生医療寄付講座」を開設している。その研究開発により世界初の自己細胞による「インプラント型再生軟骨」の開発に成功し、鼻の外観と機能改善を目指した口唇口蓋裂患者治療への実用化開発を進めてきた。

インプラント型再生軟骨は、患者本人の耳介軟骨から採取した少量の軟骨細胞を、自己血清(血液の一部)で培養し、PLLA多孔体、アテロコラーゲンハイドロゲルと混合して縦5㎝、横6mm、厚さ3mm程度のドーム型に形成し、患者に移植して使用する。先天的な疾患である口唇口蓋裂によって生じた鼻の変形を有する患者への治療を目的としている。

少量の軟骨採取で済むため侵襲性がほとんどなく患者ストレスが軽減され、また、立体で硬さを持つ再生軟骨により、鼻の長期にわたる形状改善が期待される。

また、これまでの自家培養細胞移植では治療が難しかった広範囲な軟骨損傷、欠損への使用が可能であり、移植手術後の軟骨形状維持が期待できる。今回のインプラント型自己細胞再生軟骨の成功認定を受け、2019年の製造販売の事業化と5年目に40億円の売り上げを目指す。