インドでの水害、スマホアプリで可視化して迅速に対応する

地球温暖化の影響だろう。異常気象は世界各地で観測されていて、北極圏のグリーンランドでは海岸に迫った巨大な淡いブルーの氷山が、音を立てて崩れている。ニュース映像を観ていた日本人は、線状降水帯の再発や竜巻の発生、ゲリラ豪雨に恐怖しつつ、連日酷暑に襲われている。

それはインドでも同様で、7~9月はゲリラ豪雨が多発し、都市部での洪水、被害の拡大が深刻化しているという。富士通と、神戸市を拠点にアジアの災害リスク軽減や環境問題に取り組むNPO法人SEEDS Asiaは、同国における雨期の洪水対策および国民の防災意識向上を図るために、AR(拡張現実)技術を含むスマートフォンアプリを活用し、洪水の水位測定および地図上で都市浸水の様子を可視化する実証実験を開始する。

きょうから9月30日まで、インド都市部で浸水被害の多いヴァーラーナシー県で行う。今回の実証実験ではスマホアプリを使用し、現地の高等学校7校の職員と生徒、バナラス・ヒンドゥー大学の学生、 同県の災害管理委員会(DDMA)の呼びかけに応じたヴァーラーナシー市民などが、次の3つの方法で12か所の降雨時の水位を定時に測定する。

・ 危険レベル選択式:路上駐車中のタイヤにかかる水位を目視確認し、そのレベルを高・中・低で選び、撮影画像とともに場所やコメント等をクラウドへ送信。
・ 水位入力式:学校に設置したスケールメジャーで水位を目視確認し、スマホで数値を入力後、撮影画像とともにクラウドへ送信。
・ AR測定式:スマホカメラの画像上に、ARマーカーでスケールを重畳表示し、その画像の水面をタップすることで水位を数値化して、撮影画像とともにクラウドへ送信。

これらの測定データを地図上で即時に見える化し、住民への迅速な避難指示につなげるほか、都市浸水の様子を可視化する地図についても、ハザードマップとして活用できるかなど、防災情報取得の有効性を検証するという。