いざ!木造家屋の制震性を、極大地震に備えてシミュレーション

近年自然災害が頻発している。日本において、予測不能であり、最も懸念されているのは巨大地震の発生だ。ひとたびそれが起これば被害は甚大、ゆえに公共・交通インフラや大きな建築物には耐震構造・免震機構が施されている。が、木造住宅はどうか――。

それは工務店や施主らの防災意識にかかっている。耐震性能の向上は、設計・施工技術の発展とも密接だ。

そこで、2010年の公開以来、2万回以上のダウンロード数を記録しているという。木造住宅の地震時の損傷状況や倒壊過程をパソコン上で正確に検証できるソフトウェア「wallstat」について、これを独自理論によって開発した京都大学の中川貴文准教授はきょう最新版を公開した。

建物を3Dモデル化し、過去の地震や予想される極大地震など様々な地震動を与え、木造住宅の耐震性能を動画で確認(見える化)できる。建物が完全に倒壊するまでを計算できる、「wallstat」では、数多の実大振動台実験の成果等を踏まえて、独自のシミュレーション理論の開発・検証を重ねてきた。

最新版では制振装置のモデル化、他ソフトとの連携強化、構造設計支援における新機能を追加。一に、地震の揺れを軽減する制振装置の効果を、市販の制振装置に幅広く対応する3モデルによって検証できるようになった。二に、実務で使われている木造住宅用CAD(設計ソフト)の詳細な建物情報を直接読み込むことが可能となった。

そして、鉄筋コンクリート造や鋼構造のビル等の構造設計に用いられているプッシュオーバー解析を、簡単な操作で行えるようになった。これにより、地震力等が作用した際の建物の壊れるまでの性能(終局性能)を評価できるという。

様々な実務者がより簡単な操作で高度な耐震シミュレーションを行える。wallstatの利用者が増えて、木造住宅の耐震性に関する意識の向上や技術者・学生のレベルアップにつなることに中川氏は期待を寄せる。