東北大学大学院工学研究科技術社会システム専攻 須川成利教授・黒田理人准教授の研究グループは、エイブリックと共同で、UV-AからUV-Bまでの紫外線領域の紫外光を検知するシリコンを利用した紫外線フォトダイオードの量産化技術の開発に成功し、実用化した。
この量産化技術をもとに開発された新製品「S-5420」は、高感度フォトダイオードと低感度フォトダイオードの信号差分を取ることによりフィルターなしで可視光領域をカットし、紫外光成分の検知できる。
フィルターがないためアプリケーションの薄型化やフィルターによる光の減衰を防ぐ。また、小型の透明樹脂パッケージに搭載したことにより、ウェアラブル端末での設計自由度が広がるという。
近年、ヘルスケアの分野において、日焼けやシミなどの予防に関する関心が高まりつつある。スマートフォンやウェアラブル機器などで紫外光が簡単に計測できれば、健康管理や美容医療への貢献が期待される。また、産業分野においてもUV-AやUV-B波長のLED照射型のUV硬化装置やUV硬化インクを使った印刷機などの機器が増えており、紫外光が安定して発光しているか、計測するニーズが高まりつつある。
須川教授・黒田准教授の研究グループでは、これまでに190~1100nmの広光波長帯域で高い感度を有し、強い紫外光に長期間照射されたとしても性能劣化が起こらない高い耐光性を有するシリコンフォトダイオード技術を開発してきた。
共同開発した量産化技術は、このシリコンフォトダイオード技術を応用して差分型の検出方法を導入し、高感度フォトダイオードと低感度フォトダイオードの信号差分を取ることによりフィルターなしで可視光領域をカットし、紫外光成分を選択的に効率よく検知するセンサーを製造する技術になる。
新製品であるS-5420では、シミやしわの原因となるUV-Aから、日焼けの原因となるUVBまでの計測が可能です。本製品では小型の透明樹脂パッケージが採用され、ウェアラブル機器での計測が可能になり、誰でも紫外線を簡単に確認できることが期待されるという。