健康的な行動を促す、メッセージが適時スマホに届く

65歳以上の人口が全体の21%を越える。超高齢化社会をゆく日本では、「健康長寿」をテーマにさまざまな取り組みが行われている。社会との関わりを保って、よく笑い、よく食べてよく運動するなど、生活習慣病の予防は青年・壮年期にも当てはまる。

不摂生などによる健康被害は顕在化するまでの期間が長いため、健康的な行動の継続がおろそかになりがちである。ゆえに潜在的な健康リスクが高まり、結果として種々の疾患に結びつくという。OKIと早稲田大学は、日常行動を長期的に変化させるための「行動変容技術」とそのシステム化を研究――。今回開発した「健康増進プロンプトシステム」にて、被験者約70名の行動と意識の変化に対する有効性を確認した。

利用者の属性や行動、周辺環境(天候・時間帯)をもとに、生活習慣を改善する「きっかけ」や「合図」となるメッセージを適時スマートフォン上に提示する。従来のヘルスケアシステムみたいな行動の可視化ではなく、行動変容理論にもとづいて健康行動の継続を支援する情報を送ることを特徴としている、「健康増進プロンプトシステム」での実証実験はおよそ1ヶ月間。

こころの準備性から行動の程度までを前期ステージ(前熟考、熟考)、後期ステージ(準備、実行、維持)の5段階で示した行動変容ステージにおいて、後期ステージに含まれる利用者の割合が食習慣に関しては55%から73%へ増加した。今後期間を伸ばした実験を行い、短期間では見極めにくい運動への効果も確認していく予定だという。

同システムではまた、セルフエフィカシー(「できる」見込み感)の活性化が有意または有意傾向であり、質問調査票による調査変数が、運動、食習慣ともに上昇していることが確認された。特殊機器を要しないこのシステムを活用するサービス事業者や行政機関は、利用者に健康寿命延伸の付加価値を安価に提供したり、社会コストを低減したりすることができるという。