次世代通信規格5Gの市場規模とは? 富士キメラ総研が調査

マーケティング&コンサルテーションの富士キメラ総研は、2018年中のサービスインを目指して規格策定や設備投資の前倒しが進められる第5世代移動通信システム(5G)関連市場を調査した。

2020年代のネットワークを支えるコア技術となる5Gは、LTEと比較して、高速・大容量、多数同時接続、高信頼・低遅延という特徴がある。LTEまでは携帯電話を中心としたモバイル機器向けのサービスが主体であったが、5Gは大容量通信を利用した映像配信や、低遅延を生かした自動運転車の実現やIoTの活用など、BtoCに加えてBtoB向けの市場拡大が期待される。

5G対応基地局世界市場は、2017年にLTEと5Gを組み合わせて運用するNSA(ノンスタンドアローン)の仕様が策定され、これとともに装置の標準化が進展し各国での5G導入の素地が固まった。2018年後半にはこれらに準拠した製品が投入されることで市場が立ち上がり、世界各地で5G対応基地局へのインフラ投資が開始される。

市場立ち上がり当初は、米国や中国、韓国など、2019年までのサービスインを表明している国の需要がけん引していくとみられるが、2015年以降に新設されたLTE基地局は高周波デバイスの追加とソフトウェアのアップデートで5G共用基地局になる。先行する国ではすでにLTEのマクロセル基地局のエリアカバー率が非常に高いため、LTEのインフラをベースに高トラフィックエリアに5G対応スモールセル基地局を設置しネットワーク効率を上げていくとみられる。

5G対応基地局市場はスモールセル基地局が拡大をけん引し、2023年にマクロセル基地局が1兆180億円なのに対し、スモールセル基地局は2兆9,500億円が予測される。5G対応基地局合計では2023年に4兆1,880億円が予測され、LTEなども含めた基地局全体に占める5G対応の比率は80%を超えるとみられる。

5G対応エッジ機器世界市場では、2019年にスマートフォンの5G対応機器の投入により市場が立ち上がり、以降監視カメラ、スマートウォッチなどで対応機器が増加していくとみられる。2020年代前半にはBtoB向けを中心にスマートグラスやドローンなどの需要が本格化し、このほかスマートスピーカーの5G対応化も期待される。市場は立ち上がる2019年に3兆5,165億円が予測され、2023年には26兆1,400億円へ拡大し、エッジ機器全体に占める5G対応の比率は60%を超えるとみられる。

また、通信が高速化することで、エッジ機器側の処理性能の向上が求められ、CPUのハイクロック化やバッテリー容量の増加が進む。併せて処理能力の向上によりCPUや高周波デバイスが熱源となることから放熱対策が、ノイズによる感度劣化や信号品質の低下を防止するためノイズ対策がより重要視される。