国内の製薬企業は、医薬品の副作用と疑われる症例などを確認した場合、医薬品医療機器総合機構(以下、PMDA)に対する報告が義務づけられている。一般的に副作用情報は、製薬企業のMRが医療機関などを訪問して収集し、自社にある医薬品の安全管理部門に報告する。安全管理部門は、報告された情報の評価や調査を実施しPMDAに副作用情報の報告を行う。
この際、安全管理部門は副作用情報の詳細を調査するためにMRと複数回にわたりやり取りするが、企業によってはMRが数千人にもおよぶため進捗管理に掛かる負荷が高く、報告遅延や報告漏れのリスクが運用上の課題となっている。また、MRからは外出先からでも社内ルールに沿って安全かつ迅速に報告したいという要望が上がっている。
キヤノンITSは、個別症例安全性報告を電子的に伝送するEDIシステム「EDI-Master DEX for Medical」を提供しており、PMDAに対する副作用報告システムとして大手製薬企業の大多数である80社以上の導入実績がある。また2017年から安全性業務効率化を図るPVLinkシリーズ製品「PVLink Camera Report」を提供し、長年にわたり製薬企業の安全性情報管理業務における課題解決を図ってきた。
今回、キヤノンITSは、製薬企業からの要望を集約し運用面で課題となっていた安全性情報の進捗管理業務について、基本機能をパッケージ化した安全性情報進捗管理システム「PVLink Report Manager」を開発した。
PVLink Report Managerは、製薬企業における安全性情報を管理する業務プロセス(報告・収集・進捗管理・調査・ICSR連携)の機能を標準装備しており、個別にシステム開発を行った場合に比べて、低コスト、短期間でシステムを構築できる。さらに、画面構成・入力項目・デザインなどはお客さまの要望に合わせて柔軟に設定することが可能だという。
製薬市場においては、グローバルでの競争が激化し新薬開発および承認スピードが迅速化する中で、副作用報告業務やそれに伴う関連業務の増加が予想される。キヤノンITSは、今後も製薬企業の安全性情報管理業務についてトータルなソリューションを展開しEDI-Masterシリーズを中核とするEDIソリューション関連事業で、2022年に年間売上高25億円を目指す。
PVLink Report Managerの提供価格は、1,000万円から(税別)となっている。