近年のIoT技術の進展により、企業はビジネスの効率化や生産性向上に加え、新たな価値の創出が求められている。IoT市場規模は、2020年には日本で14兆円、世界では247兆円と今後ますます拡大していく一方、グローバルで事業展開する企業が海外でIoT機器を利用する際は、国内からのローミング接続に依存するか、各国の通信キャリアと個別交渉し回線契約を行う必要があり、IoT利用の入口である回線管理を日本国内と同等に行うことが困難な状況だ。
KDDIは2016年6月、トヨタ自動車と共に自動車の「つながる化」を推進するため、国ごとに仕様が異なる車載通信機をグローバルで共通化するグローバル通信プラットフォームの構築を発表した。機器に内蔵されたSIMの設定情報を遠隔操作により書き換え、自社が選定した現地キャリアへの直接接続を可能とすることで、通信キャリアごとに異なるIoT管理環境を意識することなく統合的に管理できるという。
今回推進する基盤では、従来の自動車のほか、産業機械や建設機械など様々なモノの通信接続や課金の統合管理が可能となり、導入企業は低価格かつ高品質の通信を利用できるとKDDIは説明する。
さらに、通信接続の提供に留まらず、KDDIやパートナー企業のIoTプラットフォームと連携することで、導入企業のIoTサービス提供からデータ分析までサポートし、グローバルでの経営の見える化などに貢献していく。
具体的には、「KDDI IoTクラウド Standard」などKDDIの提供するIoTプラットフォームと連携。今後のさらなる市場の拡大においては日立製作所が提供するIoTプラットフォーム「Lumada」と連携することで、各業界の特徴に合ったIoTサービスを提供する。連携パートナーは今後も拡大していく予定。
KDDIは、2019年度の商用化に向けて、日本企業の海外現地法人の約9割を網羅する世界50カ国以上における各国キャリアと同基盤の連携を目指す。